鈴北糸の雑記帳

三人組創作ユニットがなんとなく始めたブログ。

11ページ目:謝罪と黒いやつの話

☆初めに

二週間ぶりですね、鈴です。言い訳で始めてしまうのは本当にカッコ悪いことは承知で述べるのですが、本当はちょうど先週にはブログを更新する予定だったんです。嘘じゃないです。信じてください。ただ三連休で、日曜も月曜も休みだと思ったら、アルコールを体に入れたくなってしまって、気が付いたら日にちが経ってしまいました。詳しいことはまた書きますので、ひとまず今日の投稿をお楽しみください。

 

 

 

 

端的にいうと「Gが出た、もう死にたい」という一言(二言?)に集約することができるのだけれども、私はまがりなりにもブロガー、書き手である。俳人ではないので端的な言葉で表す必要はない。むしろ、カルピスの濃度を子供が気づかない程度に薄める親のように、言葉を継ぎ足し句読点と三点リーダーを駆使し可能な限り薄く長く伸ばすことを至上に考えないといけないのだ。そして、レポートや報告書の文字数が微妙に足りないと嘆く世の若者に希望の光を与えなくてはならない。

ちなみにこの文章も私の水増し能力によって2行程度の文章だったのが5行ぐらいになっている。

 

話が逸れた、軌道修正しよう。

 

私は別に虫が好きでも嫌いでもないが、唯一気にするのは「虫がどこにいるのか」である。公園の砂浜でダンゴムシが丸くなっていても気にしないし、畑を耕してミミズが出てきたらむしろ嬉しい。散歩道に蜘蛛が巣を張っていたら葉っぱを引っ掛けて遊ぶし、セミが大声で朝から泣いていたらうるさい。

だが、それはすべて「外」の話だ。公園も、畑も、クヌギの木も、全部外にある。外で虫が何をしようが私は構わない。だって外はみんなの場所、公共の場だ。寛容なこの国では日本が納めるこの国に「虫は生きてはいけない」という法律はない。だから私も許す。何しようと寛容な心で許している。公共の場なのだから。

 

だが私の家の中に来るのなら話は別だ。ここは私の国であり、私の城である。私が日々身を削りながら得た身銭からさらに家賃を削り、光熱費を払い水道代を払いガス代を払っている私の場所だ。その代わりに私はこの家に住み、自分の思いのままに家具を設置し動かす権利を得ているのである。

 

当然、私の家に誰が上がるのかも私が決めていいはずである。

そして、私の家は「虫はお断り、百歩譲ってベランダまで許す」。

 

だから入ってこないはずだった。

正確にいうと、去年は小蝿は何匹か見かけたことはあったけど、排水溝を徹底的に掃除したらいなくなった。でもでかいやつは見た事なかった。カップヌードルを入れている段ボールを部屋の隅に置いていたけれど、隙間からあいつらが顔を出すことはなかった。私も万能ではないので存在を認知できなければ対抗もできない。

いや、認知はできる機会はあったかもしれない。

去年親が遊びにきた時(当然、私は黒いやつの存在にすら気が付いていなかった)、「家の外で黒いやつを見たが、まさか私の家から出たわけじゃないよね~~(笑)」という話をしたのだが、その時親にはっきりと言われた。

「人間の住むところにはGも必ずいるんだから、諦めなさい、あんたの部屋にも住み着いているわよ」と。

しかし私の都合のいい脳みそは勝手にその記憶を封印してしまったらしい。あるいは対策グッズを用意するのが面倒だったか。とにかく、私はそのものの姿を見たこともなかったし、対抗手段も持ち合わせていなかったのである。

警察を作らずに犯罪を阻止できると思った国家をイメージしていただければ充分だ。

 

さて、そんなおちゃらけた国家なんぞは犯罪者の格好の餌となることは想像に難くないだろう。そんなわけで先日、黒いあいつが出た。正確にいえばあいつには クロGとチャバネGという2種類がいるらしいのだが、種類を見分けるほどの心の余裕もない。おまけに時刻は朝の6時半、まだほとんどの人は寝静まっているのでそんなに大きな声も出せない。

朝のまだ頭がはっきり働いていない時間で、かつあまり理解したくない事象(Gが自分の家にいる!)を突きつけられた私は、何を考えたのか実家の親に連絡し、母親のモーニングコールをすることになった。

開口一番弱り果てた声でGが出たと報告する私に対して母は朝とは思えないほど笑い、その後に「自分でなんとかしなさい」と言って電話を切った。当然の話である。

 

じゃあ自分で何とかできるのか、というのは別問題であるが。

 

さて、と例のやつに向き合うと改めて「これを倒さなきゃいけないのか…???」と思ってしまう。何故だか私の面倒臭がりな性格が出てきて、「ここで倒さずに無視すればGを殺さなくて済むしGは出ていくんじゃないのか?」という考えが頭をよぎるが、私の理性が「これ以上Gと同じ空間を共有していたくないし出て行くのはGの気分次第だから倒せ」と叫んでいる。さすがに私もGを見逃すのはおかしいと分かっているので、仕方なしに倒す決意を固めた。

ちなみに前述の通り、我が家にはGジェットもないし新聞も取っていないのでスリッパ片手に立ち向かったのである。

 

さてそんな壮大なRPGのように立ち向かった私だが、そこからの展開はびっくりするぐらい早い。なんと一発でGを無事倒し、その日の可燃ゴミ回収でめでたく火葬したし、私は遅刻することなく仕事をして帰ってきた。もちろん帰りにはゴキブリホイホイとなんか強そうな殺虫剤を買って、特に発生したキッチン周りを中心にトラップを仕掛けた。

さあ、G達よ今こそ出てくるがいい。この際一族総引越しでもしてくれたら私もバルサン焚いて祝福してやろうかと思う。

これが現代版「借り暮らしのアリエッティ」である。

 

しかし、私がそう見込んでいくら台所前でスプレーを構えていても彼らはそれ以降姿を見せることがない。もしかしたら私のスリッパ捌きに怯えて出てこないだけかも知れないし、置くタイプの餌がGの巣?で効果を発揮するようなタイプのせいで、知らないうちにすでに全滅しているのかも知れない。あるいはまた別の機会を狙って私の家を闊歩できるよう、私が気を緩めた瞬間を待っているのだろうか。

いずれにしろ、一人暮らしをしているうちは、黒いやつと私の攻防は尽きなさそうである。